介護施設の人手不足が続くなか、外国人の採用は現実的な選択肢になっています。本記事では「介護 外国人 採用」の検討に必要な4つの在留資格の違い、費用の目安、受け入れの流れ、登録支援機関の役割、定着のポイントまでを施設担当者向けに整理します。
個別制度の詳細は、特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」の各解説記事へ分けています。まずは全体像をつかんだうえで、自施設に合うルートを絞り込みましょう。
目次
介護施設が外国人を採用する背景
介護施設の外国人採用が進むのは、国内だけでは介護職員を賄えない人手不足が続くためです。
厚生労働省の介護人材需給推計では、2040年には約69万人の介護職員が不足する見込みとされています。採用難が続く現場では、夜勤体制の維持やサービス品質の確保が課題になりやすく、外国人材の受け入れを並行して進める施設が増えています(厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」)。
- メリット:採用チャネルの拡大、長期就労につながる制度選択、教育体制を見直すきっかけ
- 留意点:在留資格ごとの手続き、日本語での意思疎通、住居・生活支援の準備
制度理解と受け入れ設計を先に固めるほど、採用後のトラブルを抑えやすくなります。
介護で外国人を採用できる4つの在留資格
介護で外国人を採用できる主な在留資格は、特定技能・技能実習・EPA・在留資格「介護」の4つです。
いずれも介護業務に従事できる枠組みですが、目的・到達までの期間・日本語要件・在留年数が異なります。施設の緊急度、育成に使える時間、長期雇用の方針に合わせて選び、最新要件は厚生労働省と出入国在留管理庁の公表資料で確認してください。
| ルート | 費用目安 | 入職まで | 日本語力 | 在留年数 |
|---|---|---|---|---|
| 特定技能 | 30〜80万円 | 3〜6ヶ月 | N4相当+介護日本語 | 最長5年 |
| 技能実習 | 30〜70万円 | 6〜12ヶ月 | 基礎日本語 | 最長5年 |
| EPA | 30〜80万円 | 1〜3年(試験まで) | 段階的習得 | 試験後は無期限(資格変更後) |
| 在留資格「介護」 | 養成費別途 | 2年以上 | N2〜N1相当 | 上限なし |
※費用は紹介・支援・渡航・生活立ち上げなどを含む一般的な目安であり、国籍・支援範囲・契約内容で変動します。
特定技能(介護)
介護技能評価試験と日本語試験に合格した人材が、介護現場で就労できる制度です。技能実習2号を良好に修了した人は試験免除になる場合があります。
最長5年の就労が可能で、比較的早く戦力化しやすいルートです。詳細は「特定技能「介護」の解説」をご覧ください。
技能実習(介護職種)
技能移転を目的とした制度で、監理団体を通じて受け入れます。実習計画の認定や講習が必要なため、入職までの期間は長めです。
2027年4月1日からは育成就労制度への移行が予定されているため、新規受け入れは移行情報もあわせて確認してください。詳細は「技能実習制度の解説」と「育成就労制度の準備ポイント」をご覧ください。
EPA介護福祉士候補者
経済連携協定に基づき、インドネシア・フィリピン・ベトナムから候補者を受け入れる枠組みです。マッチングは国際厚生事業団(JICWELS)が担います。
来日後に就労・研修を続けながら介護福祉士国家試験を目指します。詳細は「EPA制度の解説」をご覧ください。
在留資格「介護」
介護福祉士の資格を持つ外国人が対象で、在留期間の上限がなく長期雇用に向きます。養成施設ルートや他制度からの資格取得後に切り替えるケースが多くあります。
即戦力が必要な現場では、候補者の確保難易度も踏まえて検討します。詳細は「在留資格「介護」の解説」をご覧ください。
直近の制度変更と施設種別
2025年4月21日からは、一定の要件を満たす場合に特定技能外国人の訪問介護への従事が認められるようになりました。施設種別ごとの可否はルートによって異なるため、特養・デイ・訪問など形態別の記事も確認してください。
外国人介護人材の採用にかかる費用
外国人介護人材の採用費用は、紹介・支援・渡航・生活立ち上げなどを合わせて数十万円規模が目安です。
在留資格や支援の委託範囲によって内訳は変わりますが、初期に発生しやすい費目は次のとおりです。
- 登録支援機関または監理団体への紹介料・支援費用:30万〜80万円程度
- 在留資格申請・ビザ手続き代行費:5万〜15万円程度
- 渡航費・初期生活支援費(住居、生活用品など):実費+10万〜30万円程度
- 日本語教育や定着支援費用(必要な場合):月額2万〜5万円程度
初期費用だけを見て判断せず、月額の支援委託費・住居補助・教育コストまで含めた総額で比較します。費用負担を抑える場合は「外国人採用に使える助成金・補助金」も確認してください。
外国人介護人材の採用の流れと準備
外国人介護人材の採用は、在留資格の選定から受け入れ体制整備、入国・配属、定着支援までを一連の流れで進めます。
- 在留資格ルートの選定(比較表と施設方針を照合)
- 登録支援機関・監理団体・送り出し機関など連携先の選定
- 受け入れ体制の整備(責任者、住居、教育、多文化理解)
- 候補者の面接・内定・雇用契約
- 在留資格申請・入国・配属
- 配属後の定着支援(面談、日本語、生活相談)
失敗しやすいのは、入職日だけ決めて現場準備が後回しになるケースです。受け入れ責任者の選任、住居と生活インフラの確保、日本人スタッフ向けのコミュニケーション設計の3点を先に決めます。
- 日本人と同様に労働関係法令が適用される
- 社会保険などの加入手続きが必要
- 外国人雇用状況の届出を労務担当と共有する
登録支援機関の役割と選び方
登録支援機関は、特定技能外国人の生活・就労支援を受入れ機関に代わって実施できる委託先です。
特定技能では、受入れ機関自身が支援計画を実施するか、登録支援機関へ委託します。委託できる支援には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保、生活オリエンテーション、公的手続の同行、日本語学習の機会提供、相談対応、定期面談などが含まれます。
- 介護分野の支援実績(施設形態・夜勤帯の経験)
- 初期費用と月額委託費の内訳、対応範囲の境界
- 対応言語と緊急時の連絡体制
- 資格取得支援や定着面談の頻度
- 出入国在留管理庁の登録簿への掲載状況
個別機関の比較は「介護に強い登録支援機関ランキング」、選定手順は「登録支援機関の選び方」をご覧ください。迷う場合は「無料オンライン相談」も利用できます。
採用後の定着支援で押さえるポイント
定着の鍵は、日本語コミュニケーション・住居環境・職場の人間関係の3点を入職前から整えることです。
離職につながる要因は、仕事内容そのものより生活不安や孤立に寄りやすい傾向があります。入職前に日本人スタッフ向けの異文化理解研修を行い、登録支援機関を含む三者面談を月1回以上の頻度で回すと、小さな不満を早期に拾えます。
- 申し送り用語の統一
- ふりがな付きマニュアル
- 母語相談窓口の明示
現場で再現しやすい仕組みを残すことが、中長期の定着につながります。
よくある質問
- 初めてでも外国人介護人材を受け入れられますか?
- はい。登録支援機関や監理団体などと連携すれば、初めての施設でも段階的に進められます。まずは自施設の人員計画と受け入れ体制から整理し、無料相談でルート選定を確認するのが安全です。
- どの国籍がおすすめですか?
- おすすめの国籍は一つに決まりません。既存スタッフの構成、地域の生活環境、送り出し状況、日本語学習の進み方を見て判断します。国籍別の傾向はまとめ末尾のガイド記事も参照してください。
- 採用費用はいくらかかりますか?
- 紹介・支援・渡航・生活立ち上げを含めると数十万円規模が目安です。在留資格と委託範囲で差が大きいため、初期費用だけでなく月額支援費まで含めて比較してください。
- 登録支援機関は必ず必要ですか?
- 特定技能では自社支援も可能ですが、支援項目が多く初めての施設では登録支援機関への委託が一般的です。技能実習やEPAは別の連携先が必要になるため、ルートごとに確認します。
まとめ
介護の外国人採用は、在留資格の違いを押さえたうえで費用・受け入れ体制・定着支援まで一体で設計することが重要です。
まずは4ルートの比較で候補を絞り、費用総額と現場準備を見積もり、支援機関との役割分担を決めてから面接に進みます。国籍ごとの採用観点は、次の記事もあわせてご確認ください。
制度選びから支援機関比較まで一緒に整理したい場合は、「無料オンライン相談」をご利用ください。

